交通事故

交通事故における過失割合

2013.09.21

交通事故のおける過失割合は、過去の判例の積み重ねによってある程度の基準が定まっています。

過去の判例の蓄積による基準が、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ16『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』という本にまとめられています。

実務では、この基準にそって過失割合がほぼ決まります。

例えば、交差点における車両同士の事故の場合、一方に一時停止規制があれば、過失割合は、20:80となります(停止線のある方が80)。

一時停止規制のない車両の運転手の方が、「私は当てられた被害者だ。私に過失はない」といくらいっても、修正要素がない限り、実務上過失が0になることはありえません。お気持ちはわかりますが、2割の過失が認められてしまいます。

また、交差点における右折車と直進車の事故では、双方青信号であれば過失割合は、20:80となります。直進車・右折車ともに黄色信号であれば、50:50となります。

事故状況が確定していれば、基準にしたがって過失割合を決めればよいので、わりと容易に定まります。

しかし、実務上、弁護士が担当する案件では、事故状況に争いがあることがほとんどです。事故の当事者が、異なる事故状況を主張するのです。青信号で進入したと一方当事者が主張し、他方当事者が黄色信号だったと主張したりします。

私が過去に担当した案件でも、双方の当事者が青信号だったと主張した事案、事故発生地点が300メートル以上食い違っている事案、衝突した車線が食い違っている事案など様々なパターンがありました。

そもそもの事故状況に争いがある場合には、事故発生状況を立証する必要があります。刑事記録は有力な証拠になります。しかし、物損事故では、簡単な物件事故報告書だけが作成され、実況見分調書が作成されないことが多いです。

そのような場合は、信号サイクルを調査したり、目撃者や当事者の尋問によって、客観的な事故状況を明らかにする必要があります。